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2026年10月16日
No.10005459

訪日客の31.3%がAIで予定外の行き先を追加|店舗集客に生まれる新たな接点

訪日客の31.3%がAIで予定外の行き先を追加|店舗集客に生まれる新たな接点

訪日客が生成AIを利用したことで、当初予定していなかった場所や店舗、体験を新たに追加する動きが見られる。博報堂が10月9日に発表した調査によると、その割合は31.3%に達した。旅行前に訪問先を決めるだけでなく、日本に滞在している間にも、新しい行き先を検討する人がいる。生成AIは旅行中の情報収集や訪問先の選択に、どのように関わっているのか。調査結果から、店舗集客にとっての意味を考える。


5カ国すべてで生成AI利用率が9割超

博報堂が実施した「5カ国インバウンド顧客購買意識調査2026」では、訪日旅行中に生成AIを利用した人の割合が、韓国92.7%、タイ99.5%、米国94.2%、中国95.6%、インド98.5%となった。対象となった5カ国のすべてで9割を超えており、調査対象者の間では生成AIが旅行中の情報収集などに利用されている。

注目したいのは、生成AIの利用によって旅行中の選択が変わったという回答だ。31.3%が予定になかった場所や店舗、体験を追加し、20.0%は検討する商品やブランドが変わったと答えた。生成AIが情報を調べるためだけでなく、旅行中に新しい選択肢を見つける手段としても使われていることがうかがえる。

調査は2026年3月から6月に、中国、韓国、米国、タイ、インドの5カ国で実施した。対象は過去1年以内に訪日経験がある20歳以上で、各国200~258人が回答。全体の集計値は2024年度の国別訪日客数を基に補正している。結果は対象5カ国の訪日経験者に関するもので、訪日外国人全体の行動を示すものではない。


店名を知らなくても、新しい場所を探せる

生成AIの利用が訪問先の選択に関わる背景には、情報の探し方の違いが考えられる。検索エンジンや地図アプリでは、店名や地域、業種などを入力して候補を探す方法がある。生成AIでは、具体的な店名が分からなくても、希望する体験や現在の状況を文章で伝え、対話を重ねながら候補を探すことができる。

例えば、旅行中に「近くで日本らしい体験ができる場所はないか」「雨の日でも楽しめる施設を教えてほしい」と相談する場合だ。AIが提示した候補について、移動手段や所要時間、体験内容などをさらに質問し、行き先を検討することもできる。こうした使い方は生成AIの機能から考えられる例であり、博報堂の調査で実際に確認された質問内容ではない。

店舗集客の視点では、利用者が最初から店名を知っている必要がないことに意味がある。具体的な訪問先を決めていなくても、興味や希望条件から店舗や施設を知る可能性があるためだ。従来の検索エンジンやSNSにも同様の発見機能はあるが、AIとの対話では、利用者が希望を伝え直しながら候補を検討できる。

博報堂の調査では、31.3%の回答者が予定外の場所や店舗、体験を追加した具体的な理由までは明らかにされていない。会話を通じた情報探索のしやすさが行動変化につながったという説明は、AIの機能から考えられる一つの可能性であり、今回の調査で因果関係が実証されたものではない。


旅行中にも生まれる、新しい訪問先との接点

店舗にとって重要なのは、旅行前に訪問先として選ばれていなくても、滞在中に新しい候補となる機会があることだ。従来から旅行中の検索やSNSを通じて予定を変更する行動はあったが、今回の調査では生成AIもそのきっかけの一つとなっていることが確認された。

これは、旅行前の広告や認知度向上が重要でなくなるという意味ではない。旅行中に何をしたいか考えている人に対しても、店舗の存在や特徴を知ってもらう機会があるということだ。利用者が求める体験に合致していれば、それまで知らなかった店舗が新たな選択肢になる可能性もある。

もっとも、AIによる情報提供には課題もある。博報堂の調査では、提示された情報が定番や観光客向けの内容に偏っていたという回答が27.9%、情報の信頼性を判断しにくかったという回答が25.7%あった。利用者が必要とする情報をAIが常に適切に提示するとは限らず、店舗側がAIによる紹介や推薦を保証できるわけでもない。


パチンコホールは何を伝えられるか

パチンコホールにとっても、訪日客が旅行中に新しい娯楽を探す場面は、店舗を知ってもらう接点になり得る。日本ならではの娯楽を体験したいと考えていても、パチンコ・パチスロの遊び方や店舗の利用方法を知らない人が、AIとのやり取りを通じて施設の存在を知ることは考えられる。

店舗側が検討できるのは、初めて訪れる人に必要な情報を正確に伝えることだ。所在地や営業時間、アクセスだけでなく、施設の特徴や遊技方法、利用時の注意点、外国語による案内の有無など、訪問先を判断するための情報が分かりやすく公開されているかを確認する。情報発信にあたっては、パチンコ業界の広告宣伝に関するルールや、利用する情報サービスの規約も踏まえる必要がある。

生成AIの回答にパチンコホールがどの程度登場するのか、そこから実際の来店に結び付いているのかは今回の調査から分からない。31.3%という数字も、回答者が予定外の訪問先や体験を追加したとする自己申告であり、特定の施設への来店数や売上の増加を示すものではない。

今回の調査が店舗経営者に示しているのは、旅行前に訪問予定へ入っていなかった場所も、旅行中に新たな選択肢となり得るという変化だ。これまで店舗は、自店を知ってもらい、検索してもらい、訪問先として選んでもらうために情報を発信してきた。今後は、まだ自店を知らない人が、何をしたいかという相談から店舗を発見する場面も考慮する必要があるのではないか。

店舗の魅力をつくることと、その魅力を初めて知る人に正確に伝えることは、別の課題である。訪日客にどのような体験を提供できるのか。その情報が、店舗名を知らない人にも届く状態になっているのか。生成AIによる店舗集客の効果は今後の検証を要するものの、旅行前に選ばれることだけを前提としない情報発信のあり方は、店舗経営者にとって考える価値のあるテーマだ。


文=アミューズメントジャパン編集部

出典:博報堂「5カ国インバウンド顧客購買意識調査2026」(2026年10月9日発表)


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