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特集 障がい者雇用の現状と課題【後編】
ホール企業の
障がい者雇用を支えたい
一途(いちず)株式会社
一途株式会社は、障がい者が働きやすい環境を整え、企業の戦力として活躍できる仕組みづくりを支援するアドバイザー企業。企業と障がい者がともに支え合う社会の実現を目指す同社では、パチンコホール経営企業に特化した企業向け障害者雇用支援サービスに力を入れている。
長野県の東信地区に位置する上田市。一途株式会社のルーツはここにある。代表取締役の大山裕二氏は隣接する東御市の出身。上田市を中心にチェーン展開していたパチンコホール企業で経営幹部を務めた後、独立してコンサルタント会社を起業し、パチンコホールの経営支援で全国を飛び回った経験を持つ。
そんな大山氏が障がい者福祉に関心を寄せたのには理由がある。心を病んだ親族の姿を長く見てきたなかで、障がい者への支援が十分に行き届いていない現状をなんとかしたいという強い思いがあったからだ。
大山氏は2017年、障害者総合支援法に基づく各種事業を運営するワンズ株式会社を設立。障がいのある人が「自分らしい生き方」を叶えるための事業をスタートした。現在ワンズが手掛ける事業所は、就労移行支援、就労継続支援、放課後等デイサービス、グループホームなど多岐にわたり、従業員(障がい者雇用を含む)128人の規模に成長。地元の自治体からも大きな信頼を寄せられる存在となった。一方で、大山氏は、一般社団法人 全国介護事業者連盟で障害福祉事業部会の本部役員 兼 長野県支部 支部長を務めるなど、障がい者福祉事業者の分野で大きな役割を担っている。
障がい者と企業を結ぶ
企業向け障害者雇用支援サービス
ワンズが地域に根差してさまざまな事業を展開するなかで、多くの時間を要してきたのが障がい者雇用の受け皿となる企業の開拓だった。企業側には、社会的役割への理解がある一方、コストや切り出す業務の設定などに難しさがあった。障がい者側には、安心して働き続けられる職場かどうかに加えて、メンタル面や体調面での不安があった。そこで大山氏は企業と障がい者を結び、双方にとってより良い雇用の仕組みづくりを支援する会社を立ち上げた。それが一途株式会社だ。
大山氏は一途を、企業の障がい者雇用を継続的に支える伴走型障がい者雇用アドバイザーと位置づけ、その意義をこう語る。
「障がい者雇用は企業様にとって単なる義務や負担ではありません。人材不足が進むこれからの時代に企業の業務を支える大切な戦力なんです。業務を整理し働きやすい環境を整えることで、法定雇用率を達成するだけでなく、外注費の削減や既存社員の業務効率化にもつながります。一途では障がい者を採用して終わりではなく、安心して働き続けられる仕組みづくりまで伴走していきます」
一途が提供する支援サービスはすでに、キリンホールディングス傘下のメルシャンなど、大手企業を含む約10社が導入している。支援先の大手企業を訪問した宮坂真由次長はこう話す。
「昨日は、フルパッケージで障がい者雇用のアドバイザリー契約を締結していただいた企業様に伺い、これから障がい者雇用の中心的な役割を担っていただく作業療法士兼ジョブコーチの資格を持つ方の面接に同席させていただきました。とても素晴らしい人材でひと安心。もちろん採用の方向です。この企業様のミッションは、来年4月末までに5人の障がい者雇用を実現すること。しかし私たちが目指しているのは、単に『人数を満たす』ことではありません。採用される方にとっても、企業様にとっても、お互いが『この出会いで良かった』と思える、Win‐Winの雇用をつくることです」
今後対応迫られる
ホール企業の障がい者雇用
大山氏は今後、これまで障がい者雇用に関わってきた知見を活かして、パチンコホール経営企業に貢献したいと考えている。障がい者の法定雇用率が2.7%となる今後を見据え、障がい者の雇用や定着に悩むホール法人は少なくないと見ているからだ。
実際、大山氏のもとには旧知のホール経営者から障がい者雇用に関する相談が数多く寄せられている。ホール法人からの相談には大山氏自らが対応し、業務内容や採用基準の設定、定着ノウハウを提供。定期的に店舗を訪問し、障がい者雇用と育成のアドバイザーとして活動を続けている。相談の際は全国どこのホールでもこれまでのビジネスで築いたネットワークで対応できるという。
大山氏がホール業界経験者だからこそ伝えられる障がい者雇用の留意点は、以下の3点だ。
●店舗業務の中から障がい者の適性や特性に合った仕事を整理・切り出し、業務をマニュアル化・標準化すること。
●音や光などの刺激が多いパチンコホール特有の環境に適応できるかを見極めるための採用基準を設けて求職者の特性と現場のニーズを的確にマッチングさせ、早期離職を防ぐこと。
●店長や一般社員に向けた障がい特性への理解を深める研修や指導ノウハウを提供すること。
こうした業務面だけでなく、面談の実施や相談窓口の設置など、障がい者のメンタル面のフォロー体制の構築も支援し、長期間安心して働き続けられる職場環境づくりを後押しする。
大山氏は、ホール企業における障がい者雇用についてこう語る。
「ホール企業様にとっての障がい者雇用の価値は、単なる法定雇用率の達成にとどまりません。適切な業務を切り出すことで既存スタッフの負担を軽減させる『戦力化』を図り、地域貢献を通じた『企業価値の向上』を図ることで、現場の課題解決と障がい者の活躍・定着が双方の利益となって循環する実利的なパートナーシップを築くことではないでしょうか。障がい者雇用は企業の義務ではなく、未来への投資です。一社でも多くのホール企業様と、一人でも多くの働きたい方の架け橋となれるよう、これからも全力で取り組んでいきます」
ICHIZU 一途株式会社
〒389-0516長野県東御市田中1-8
TEL.0268-75-0360(担当/宮坂)
https://1zu.co.jp/
特集 障がい者雇用の現状と課題【前編】はこちら
文=アミューズメントジャパン編集部
※月刊アミューズメントジャパン2026年10月号に掲載した記事を転載しました。










